レディキラー
「――甘っ! 何これ。この前のミスティ・ネイルより甘い」
俺が味見のつもりで渡したグラスを彼女が離そうとしないのは、正体を探ろうとしているのか、気に入ったのか。
「作る?」
「うん」
タンブラーにジン、スコッチ、リキュールを等量ずつ注ぐ。自分のはそのままだったけど、今回は一応気を使って菜箸でかき回した。
「銘柄はこれって決めてなくて、今あるのを使ってるだけだから」
氷を入れた後、冷蔵庫から一缶取り出す。
「リアルゴールド……甘いはずだよ」
これをグラスの中身と同じ量だけ注いで渡した。
「甘すぎてぐっとは行けないね」
「その方がいいよ。これ二十度くらいあるから」
「わっ、凶悪!」
「もっと薄める?」
「うん、炭酸水でね」