星影をさがして
星を見に行こう、と彼女に言った。旅行でもしてさ、と。
どうも仕事に悩んでいるらしい。直接話してはくれないけれど。だから気晴らしでもしてはと思った。
当日の空は、雲は多いけれど日は差していた。天体観望には不都合でも、それだけが目的って訳でもない。特産物のランチや観光地巡りを楽しんだ。
夕食後、近くの展望台に向かった。やはり雲が邪魔をして、知ってる星座さえ見つけられなかった。
辺りに人気はなく、とても静かだ。
「あ、流れ星」
僕の言葉に、はっと目を凝らす彼女。その星影きらめく頬の雫に、ハンカチを当ててやった。
「つらいときは泣いていい」
彼女はそれで初めて自分の涙に気づいたような顔をすると、さめざめと泣き始めた。