雲の上、彼女の隣
あたしの友達、京は大変な引っ込み思案で、臆病だ。今日のように、片思いの相手とこれから話すというだけで(まだ目の前にいなくても)固まってしまうくらい。
そういえば京が「雲の上の人」と呼ぶ憧れの部長とも、いまだに会話ができないのだという。
それに、この間職員室の前でも深呼吸をしていたな。
彼女には、会話のままならない相手が多すぎる。
「その点、京が気安く話せるあたしってよっぽど小者なのかね」
それはただの軽口で、別にひねくれていたつもりはなかったのだ。そんな気まぐれなのに、彼女の本音を引き出してくれて、本当に良かった。
「違うよ。舞は私の友達……親友だから! 舞とは、すぐそばでもちゃんと話せるようでいたいの!」