京の窮地と柊部長の助け舟
文芸部誌の編集会議。去年私がこの部を知るきっかけになった本に携われることに、私はやや興奮している。
けれどそれ以上に私を緊張させたのは、慣れない部員ばかりで人口密度の高い部室にて繰り広げられる、普段の低い出席率からは想像できない活発な議論だった。
引っ込み思案で人見知り。この性格がこの場をこんなに苦手にさせるなんて。縮み上がっている私に、柊部長が水を向けた。
「京さん、あなたの意見は?」
「私は……、去年使っていた遊び紙が可愛くていいと思います」
――まさか、この前例への支持が更なる火種になるなんて。すっかりくじけてしまう寸前、柊部長の頼もしい声がした。
「『神は細部に宿る』と言うわ。私は京さんに賛成よ」