未来の自分との約束
モールの広場で笹飾りを前に、私の隣で舞が尋ねる。
「京は今まで、どんなこと書いてた?」
「あんまり覚えてないよ。お母さんには『あなたはずっと花屋になりたがってたね』って笑われたけど」
思い出して、私も小さく笑う。
「でも、去年は『創作活動を続けていけますように』だったかな。進路や受験を意識し始めた時期だったし」
「それは、願い事っていうより約束だね。未来の自分との」
そうかもしれない。そして約束は果たすためにするものだ。その後あの文芸部に憧れ受験、合格を果たした中三の私のおかげで、今の私がある。
「だったら、次の願い事は――」
「榊君と仲良くなれますように」
「わぁー! 今いいとこだったのに、水を差さないで!」