あなたらしさの一側面
「私、アルバイトするのに向いてないのかなって……」
鞄から情報誌を柊部長に渡して、部活中のため息の理由を告白した。
部長は黙ってページを繰り終えて一言、
「考え過ぎ」
私を真っ直ぐ見つめて、断言した。
「ここに載ってるのは飲食店、コンビニと接客ばかり。だから自信ないんでしょう」
いともたやすく言い当てられてしまい、素直に頷く。
「確かに京さんの性格では難しいかもしれない。でも、目の前のものの合う合わないだけで、全部知ったつもりになって落ち込んじゃだめ」
そして、私の手がそっと握られる。
「あなたらしさの一側面が明るみに出ただけ、そう考えてはどうかな」
部長……私、この事で泣くつもりなかったんですけど、あのっ……。