お兄ちゃんのささやかなお祝い
自身の高校合格を確認したばかりの妹と、二人で昼食に向かった。平日昼間の店内は静かで、喜びと興奮から饒舌な彼女のことを少しだけ気にかけながら席に着く。
「さて、改めて合格おめでとう。今日は好きなの頼んでいいぞ」
「わ、ありがとう。じゃあスイーツもいいの?」
もちろん、やったぁ、と交わし、メニューを開く。
実は、母からは千円ずつしかもらっていない。普段デザートまでは許されない我が家の外食一人分。だからこれはアドリブ。たとえ足が出たって、その分は大学二年の俺からのささやかな合格祝いだ。
「私、一つに絞れないから、お兄ちゃんの分も二種類ずつ頼んでシェアしない?」
えっ、俺は日替わり定食でいいんだけど……。