彼女の道もローマに続く
「ね、お兄ちゃん。私の進路、間違ってないよね……」
合格祝いのファミレスで妹がぽつりと尋ねた。妹は悩んだ末に、三つの学科から普通科を選んだのだった。
「それ、俺も前に父さんに聞いたことがあるな。父さんはさ、転職が多かったけど、得意科目とか趣味とかも多かったおかげで新天地にもすんなり馴染めたんだって。だから俺も、不正解なんかないと思って何でも手を出すようにしてる」
「へー、ただの飽き性じゃなかったんだね、お兄ちゃん」
失礼な言葉に無言のデコピンを返して、先を続ける。
「諺にもあるだろ、『すべての道はローマに通ず』ってな」
「え、いきなり日本から出られないの?」
「そうじゃないって。諺を文字通り捉えちゃダメ!」