京の不得意科目
四限の数学が終わった昼休み。弁当を持って近づいてきた舞が早速切り出した。
「どうだった?」
「だめだった。さっきの加法定理、出てこなかったし」
小テスト直前に舞に意地悪されたおかげで強く印象づいたヤマは、見事に外れていた。
「正接のグラフって、波じゃなかったんだね」
「そうだよ。先生こんなことやってたの、覚えてない?」
舞は人偏みたいなポーズをした。
「覚えてない……」
そんな印象的な授業なら、記憶に残りそうなものだけどな。
「あの、小テストでいちいちヤマを張ってたんじゃ大変だよ……っていうのは綺麗事だけど、京はもう少し授業中の内職を減らしたほうがいいと思うな」
「あっ、部誌のやつ! あれはいつもじゃないから!」