京への誤解
舞のからかいを受けながら、どうにか彼女の指の切り傷に絆創膏を貼り終えた。
「それにしてもすごいね。絆創膏すぐ出てきた」
「まあ、いつも鞄に入ってるからね」
「他には何が入ってるの?」
尋ねられて、私は救急ポーチを広げて見せた。別に大したものは入っていない。さっき使った軟膏と、絆創膏が大小二種類。ガーゼに小さなハサミ、あとは頭痛薬。
「前は酔い止めの薬も入れてたんだけど、去年くらいからなくてもよくなって」
「あー、京って三半規管弱そうだもんね。歩道の縁石とか歩いてこなかったでしょ」
「いや、そこはそもそも歩くとこじゃないから」
「ほら、やっぱり京はマジメだね」
「マジメって、そういうことじゃないと思うけどな……」