卒業式の後で
「なぁ、これまで集めた合格祈願グッズ、どうするんだ?」
俺が尋ねると妹は、んーどうするかなぁ、とつぶやいて、合格祈願の五角形があしらわれた髪留めに手をやった。
「捨てることはないよね。基本的には気に入ったから、買って、使ってるんだし」
確かに、その髪留めはそんなダジャレに頼らずとも実用的にかわいい。
「お兄ちゃんはどうしてたの?」
俺は慌てて、んーどうだったかなぁ、ととぼけて見せた。
「卒業式の後でお守りを後輩にあげたくらいかな。次はお前の番だなって」
「ふーん……、それって女子?」
「なっ!?」
「男子が男子にお守りを、卒業式の後で。ちょっと想像できないなーって」
「できなくていいし、ほっとけ! もう忘れた!」