読書家への誤解(2)
「京って国語得意でしょ。やっぱり本読むから?」
「うーん、半分当たり」
私の曖昧な返事に、舞は何を察したか心配そうな顔をした。
「昔、よくからかわれたの。本読んでるのに国語が悪いって。児童書だけで漢字も諺も網羅してる訳じゃないのにね。でも悔しいから国語だけは点取らなきゃって」
「なるほど。苦労の結晶なんだ」
「お陰で何でも調べる癖は付いたけど。例えば」
教科書を適当に開く。
「夏目漱石の名前の由来、漱石枕流っていう四字熟語なんだって」
「流石、本好きは物知りだね!」
舞もすぐからかおうとはするけど、今のは私がもう平気だって分かってくれたからだ。私も笑って返す。
「そう言われるから調べるの! 私一冊も読んでないのに」