兄弟の自由研究(2)
「ねーもー帰ろー?」
河原に座った弟が呼びかける。今日も帽子にタオル、水筒を装備した姿で、手には丸い小石を握っている。
「何言ってんだ。自由研究やり直すんだぞ。実験急がないと」
集めた昆虫はきれいな標本にならなかった。そこで兄は急遽、石の形と水切りの回数の関係を調べることにしたのだが。
「でも、兄ちゃん水切りも下手っぴじゃん」
うるせー、と一蹴する兄は投げる前の小石の写真をせっせと撮る。
その横を弟がてててっと助走して、
「えいっ」
ちょん、ちょん……、今日の最高記録、六回跳ねた。
「ほら、絶対投げ方だもん」
「今更テーマ変えられるかよ」
「じゃあ今の記録あげるから、もー帰ろー?」
「それ、ネツゾーっていうんだぞ!」